WEB制作でフリーランスになるために必要なことは、プログラミングの学習や営業だけではありません。
特に料金設定は、今後の自分の収入を左右する大事な要素ですので、定期的に確認するようにしましょう。
この記事を読んでほしい人
- フリーランスになることを検討している人
- フリーランスの見積書や請求書の作り方を知りたい人
先に要点を書いておきます。
- 自分の時間単価を決めておく
- 時間単価を下回らないように料金設定する
- 作業項目の所要時間を洗い出したら、それをそのまま見積書にできる
- 請求書はクライアントのために必要
フリーランスは見積りや請求書を自分で作成しなければならない
フリーランスや個人事業主として働くようになると、取引先などから、見積書や請求書の提出を求められるようになります。
特に見積書の作成は、自分の料金単価や所要時間を知ることができるので、これからの業務の指標にすることができます。
料金設定に失敗して、単価の低すぎる仕事を受注してしまわないようにしっかり確認しておきましょう。
クラウドソーシングでは見積り、請求書は不要
【クラウドソーシングの見積り】各フリーランサーなどが提案をする際に料金を提示するので見かけ上は必要ありませんが、料金の計算などには料金設定や見積りの考え方が必要になります。
【クラウドソーシングの請求書】クラウドソーシングでは料金の支払いや振込は、運営会社が代行します。なので請求書は必要ありません。
フリーランスは自分で料金設定をする。案件によっては見積書も必要
料金設定や見積書を作れるようになっておく必要がある理由は、取引先から求められるだけではありません。
見積書を作るに当たって、自分の料金単価や業務の所要時間を計算しておかないと、いざ仕事をしてみたら単価が低すぎて割に合わなかった、ということになりかねません。
(作業に慣れておらず、時間がかかってしまう場合は仕方ないかもしれませんが)
私がフリーランスになった時にも料金設定や見積りのことを全く考えたことがない状態で仕事をしていました。
後に単価計算したら、平均時給1,500円で、安いときは時給1,000円を下回っていることもありました。
リスクのあるフリーランスで仕事をしているにしては単価が低すぎますよね。
このような状態にならないために、かならず料金設定や見積書を作れるようになっておきましょう。
- 料金設定 -> 自分の単価を決める
- 見積書 -> 各作業の所要時間を洗い出す
取引先から見積書の提出を求められるパターン
- 取引先が概算を知りたい時 -> ざっくりとした見積りを提出する。項目数を減らして見やすくする
- 依頼(契約)直前に詳細な見積りを確認したい時 -> 項目数を増やした詳細な見積りを作成する
見積書を提出するかどうか、取引先から依頼があったら提出するパターンと、こちらから見積書の提出を提案するパターンはケースバイケースです。
見積りを確認してほしい、見積書を送ったほうが契約に繋がりそう、等の場合はこちらから見積書の提出を提案してもよいでしょう。
クラウドソーシング以外の仕事では請求書が必要な場合がほとんど
クラウドソーシングでは、請求書を用意する必要がありませんが、制作会社の下請け業務を行う場合や、直接取引をする場合は必ず請求書が必要になると思っておいたほうがいいです。
なぜ請求書が必要なのか
取引先(お金を支払う側)は、その代金を必要経費として計上するために、取引があったことの証拠として請求書が必要になるためです。
これから実際に、料金の決め方や見積書・請求書の作り方を解説していきます。
料金の決め方と見積書の作り方
ここでは、わかりやすく、料金のイメージがつきやすくするため、時間単価(時給のイメージ)で料金を設定する方法を解説していきます。
料金を決める時のポイント
- まずは時間単価を決める
- 直接取引 > 下請け > クラウドソーシングの順で金額は低くなっていく
- 仕事の請け方によって設定できる料金に差があることを理解しておく
コーディングとデザインは同じ考え方で計算することができます。
まずは時間単価を設定する
まずは料金設定の核となる時間単価を設定します。
直接取引か、下請けか、クラウドソーシングか、などによって設定できる料金は変わってきます。
例えば、時間単価3,000円で設定した場合で、クラウドソーシング内の仕事を探すと仮定しましょう。
デザイン5P + WordPressコーディング5Pの案件で50,000円の案件だった場合、16時間前後で制作を完了する必要があります。
余裕を持って完了できるのであれば、その料金設定で良い、ということになります。
【作業時間 = 報酬総額 ÷ 時間単価】 この計算で算出しました。
正直この時間で制作を完了させるのは厳しいと思います。
時間が短すぎると感じた場合は、「案件の料金が自分にあっていない」「時間単価が高すぎる」「自分の作業の所要時間が多すぎる(作業が遅すぎる)」などの可能性があります。
料金が合わないと感じる場合の原因リスト
- 案件の料金が自分にあっていない -> 自分の設定した単価が高すぎる可能性がある。仕事の取り方による相場を調べたり、他の仕事の取り方も検討する
- 自分の作業の所要時間が多すぎる -> 作業に通常より時間がかかってしまうため、料金が合わないと感じる場合もある。初心者の場合は妥協も考える
作業時間を早める方法に関しては下記の記事で詳しく解説しています。
時間単価をもとに見積書を作る
時間単価を設定したら、試しに見積表を作ってみましょう。
今回は項目をメモ、計算するために今回はGoogleスプレッドシートを使用します。
以下のようなテンプレートを用意したのでコピーしてお使いください。
以下は試しに見積表を作ってみる手順になります。
- 架空の依頼を考える
- 作業工程を洗い出し、細分化する
- 各工程の所要時間を書き出す
- 所要時間の合計と時間単価を掛けてみる
- 以上の情報を元に見積書を作る
各項目の役割です。
- No -> 項目のナンバーを設定。なくても良い
- 項目 -> 細分化した作業工程を記載する
- h -> 所要時間を記載する。今回は1時間 = 1、30分 = 0.5となるように設定した
- 備考 -> メモを残しておきたい時に使用する
- 料金 -> 「項目」の「h」(所要時間)と「時間単価」を掛けた数字
- 時間単価 -> 時間単価
- 合計 -> 全ての「料金」を足したもの
実際に提出する見積書には「時間単価」は記載しないほうが良いでしょう。
今回用意したスプレッドシートの使い方
- 項目の洗い出し、細分化は「項目洗い出し用」に記載
- 見積りに反映させたい情報は「見積り反映用」に記載
(細分化した項目を見やすくまとめて記載するとわかりやすい) - 「見積り反映用」に記載した内容が「見積書」シートに自動で転記される
今回は以下の依頼があった前提で見積表を作ってみます。
- デザインデータあり
- テキストあり
- サーバー、ドメイン契約済み
- WordPressのインストールと新規テーマ作成
- 全5ページ(TOPページ含む)
- 内1ページお問い合わせ
項目を洗い出して行きます。
このときは「項目洗い出し用」に記載します。
項目を書き出しました。
(ディレクション費用や、その他の費用も請求する場合がありますが、今回は例として項目を記載しています。)
これらの項目は保管しておけば料金表としても活用できます。
また、時間は例として記入したので、自分が必要だと思う所要時間を記入しましょう。
所要時間の計算漏れがないように注意!
今回の想定では、料金の合計は¥63,000(税抜)になりました。
また、コーディングやデザインは、記載例のように1ページあたりの所要時間からページ単価を設定すると見積りが簡単に、わかりやすくなりそうです。
所要時間は余裕を持って設定しましょう
これまでの情報を整理して、「見積り反映用」に記載していきます。
今回は項目がシンプルなのでそのままで良さそうですが、細分化して項目数が多くなりすぎた場合はわかりやすくまとめて記述するとよいでしょう。
「見積り反映用」の「項目」「単価」「個数」が「見積書」シートに転記されて、自動計算されます。
以上で見積書が完成しました。
見積書はPDFなどでダウンロードできます。
重要なことは、作業の所要時間を把握する、ということです。
この作業で「自分が何にどれくらいの時間を使っているか」がわかりますし、案件の情報などを見ている時に、所要時間がイメージできるようになってきます。
また、所要時間を低く見積もってしまった、というリスクを減らす要因にもなると思います。
配布のスプレッドシートを利用する際の注意!
今回のスプレッドシートは説明用に簡単に作成したものです。
このスプレッドシートを利用して作成された見積りによって生じたいかなる損失やトラブルについても、当方は一切の責任を負いかねますので、ご理解とご注意のほどをお願いいたします。
また、見積書を簡単に作成したい場合は、以下のサービスがおすすめです。
無料プランで会員登録すれば、見積書・納品書は無料で無制限に作成できます。
請求書の作り方
ここからは請求書の作り方を解説します。
請求書に必要な項目を以下にまとめました。
請求書を作る時に必要な内容
- 発行日
- 取引先名
- 自分の名前、住所など
- 項目(内容、個数、単価など)
- 合計金額
請求書のテンプレートも用意しました。以下をコピーしてお使いください。
請求書に記載する内容は、見積書を提出していた場合は、見積書の内容を(もしくは簡潔にまとめたものを)転記します。
先ほど作成した見積書を転記した請求書を作成する場合は、以下のようになります。
先ほどの見積書に記載された内容とまったく同じですね。
請求書では「発行日」と各種金額が特に重要なので間違えないように注意しましょう。
また、請求書を作る時に必要な内容を各箇所に記載します。
請求書も見積書と同様PDFなどでダウンロードできます。
請求書は、フリーランスとして働くならほぼ必ず使用しますので、納品と同時に請求書を用意できるような体制を作っておきましょう。
配布のスプレッドシートを利用する際の注意!
今回のスプレッドシートは説明用に簡単に作成したものです。
このスプレッドシートを利用して作成された見積りによって生じたいかなる損失やトラブルについても、当方は一切の責任を負いかねますので、ご理解とご注意のほどをお願いいたします。
請求書を簡単に作成したい場合も、先ほど紹介した以下のサービスがおすすめです。
無料プランで会員登録すれば、請求書は月に10枚まで無料で作成できます。
まとめ
WEB制作でフリーランスとして働くには、技術や営業面だけでなく、料金設定や、見積書、請求書などを作成する必要がでてきます。
特に料金設定について理解していると、自分の今の単価を常に把握できるようになるため、とても重要です。
料金設定や各種書類の作り方を覚えて、自信を持って営業できるようにしましょう。